緋の天空


葉室麟 著 角川文庫 令和7

今年も、正倉院展示の季節となりました。

上野の森美術館で、ビジュアル的に美しい、正倉院御物を復元した 「正倉院 show」と銘うった、展示がありました。

生前の聖武天皇遺愛の品を、
皇后である光明子が、奈良 正倉院に納めた、という歴史的な展示物でした。


本書のヒロインは、その光明皇后、奈良 平城京の頃、
藤原不比等の娘として生まれた安宿媛(あすかひめ)の一生を描いた物語。

葉室麟さんの描く女性像は、凛としていて、たおやかで、魅力的。他の作品でも、やはり似た感じの女人が登場するので、ある意味、作者の理想の女性、なのだろうと思います。

権謀術策うずまく聖武天皇の御代、天然痘の流行と、御仏の教えに救われるために、奈良に大仏を建立することになるのですが、

1,600年の時を超えて、現在、物体として残ったのは、東大寺の大仏 と正倉院の御物でした。

時の流れと、シルクロードの距離を感じさせられる、これらの品々を 仰ぎ見て、
私は ついつい、 人しれず流した涙と、血なまぐさい汗 に
思いを馳せてしまいます。