種をあやす 在来種野菜と暮らした40年のことば

岩﨑政利 亜紀書房 2024

いつの頃か、種にもF1というタイプの種があると知ったことがあります。

F1の種は、1代限りの種だそうです。タキイの種 で売っているのは、このF1の種がほとんど だと知りました。

本書でいう、在来種の種は、その土地に根ざした、そこで先祖代々 大事に育てられた野菜の種のようです。

そんなに大事に守られたのは、なぜかというと、それはおいしいから 、 それにつきるようです。

著者は、在来種の野菜の種を採取します。種あやし とも呼んでいて、実った種を風に向けて飛ばし、手のひらに残った種を保存します。そして翌年、また野菜を作って、花を咲かせ、種をとって、増やしていきます。

自分は野菜を心の目で観て、野菜の気持ちを聴きながら、
一緒に野菜を作っていくのだそうです。

本当に地味な農作業の毎日だと思うのですが、その野菜の花が咲いてこそ、種ができるのであって、野菜の花の美しさを味わえるのが、ご自分の農家としての楽しさのように感じ入りました。

装幀も地味で、内容も地味なのですが、この本が私の部屋の机の上にあるだけで、なんだか清々しい気持ちになりました。

緑の濃い森の奥、散々 苦労して登りきった山の上で、なんともいえない風を感じているような、好きな本の1つでした。

玉三郎の「風(ふう)を得て」

真山仁
文藝春秋 2025

表紙のお写真を見ただけでも、本当に人間なのかしら?
と思ってしまう佇まいです。

インタビューアーの真山仁さんは、『ハゲタカ』の作者。
まったく歌舞伎を知らなかった作者が、坂東玉三郎さんの舞台に感動したことがきっかけで、この作品が出来上がったようです。
私は、『天守物語』をテレビの舞台中継で見たことがありますが、その頃はまだ学校に通っていた未成年だったからかもしれませんが、あんまりよくわかりませんでした。魑魅魍魎に合ってるなー玉三郎さまは、くらいだったです。
そう感じた記憶があります。
本書のタイトルの 風を得て 、とは世阿弥風姿花伝から取ったそうです。風 とは、その人の主観的な生き方のことだそうです。
小さい頃、ポリオを患って、日本舞踊を始めて、その才能を見出されて、歌舞伎の名門 守田勘彌の養子となります。名門の血を引かず、才能によって部屋子となって、人間国宝まで上りつめた、当代随一の女形
映画『国宝』のモデルの
インタビューをまとめたものとして、本書も刊行されたのだろうと思います。
そこには、芸の本質、演じることの玉三郎さんらしい思いの数々がありました。
これは、今だからこそ、胸に迫ってきます。
情報の洪水の中で、その人にとっての必要な心の糧が何であるか、いったい誰がわかるのでしょうか。
それを玉三郎さんは、軽々と言い放ちます。
何かを受け入れる覚悟、魂と魂の共鳴。舞踏で表現する何か。
だからこそ、伝わる何かがある。
たぶん私には死ぬまでわからないだろうと思える、この人なりの覚悟。もう雲の上の果てまで、行ってしまったんだろうな、この人の舞は。
そう思い始めています。一度 舞台を見てみたいと思いました。

潮音 第1巻

宮本輝
文藝春秋 2025

いまや 押しも押されぬ大作家。『青が散る』読了 以来のファンですが、わたしの輝ちゃん とは、恐れ多くて言えなくなりました。

歴史小説をはじめて拝見いたしますが、さすがの 輝ちゃん でした。

始まりは、幕末の富山。売薬行商人 弥一 の物語です。

売薬行商人、つまるところ、富山の薬売り のことをいいます。

第1巻を読んで、自分の子ども時代、我が家に来ていた、
富山の薬売り のことを思い出しました。

1960年代後半、昭和40年代、家にも来ていました。
強烈に覚えているのは、

蛸の吸い出し(真っ黒でねっとりした飴状のもの)

紙風船

特に紙風船は、楽しみでした。軽くて、空気を入れて膨らませると、よく飛びました。

蛸の吸い出しは、これまた謎の粘着液で、木の薬箱にシャーレみたいなものに入れられて、常備されていました。
膿を吸い出す時に使ったらしいです。

富山県から、青森県まで、1年に1回か2回来てたかなあ。なぜか、顔は覚えていませんが、薬売りの人が両親と
談笑していたのを、ぼんやり憶えています。

あの紙風船の紙は、富山県八尾の紙、薬を包む紙で作っていたらしいです。

そして、富山の薬売りの人たちは、幕末には、薩摩藩琉球、清国とつながっていた、
と知りました。

やはり 宮本輝さんの書くものは、古い昔の記憶を呼び醒ます、不思議な興奮を覚えます。

時代の荒波を越えて、売薬行商をしながら、庶民の目から見た時代の流れに、また違った歴史の捉え方にを垣間見て、次巻を読みたくなりました。

さみしい夜にはペンを持て

古賀史健 著 ならの[絵]ポプラ社
2024

本書の舞台は、海の中。
中学校があって、主人公はタコのタコジロー。
トビオくん やウツボリ くん、アナゴウくん、 イカリくんがいる学校。

ヤドカリおじさんが、悩めるタコジローを導きます。

そう、日記に自分と向き合って書くことを勧めるのです。
読者は、自分。
書くことで自分の気持ちを整理できるよ! と言ってくれるのです。

とはいえ、スートーリー自体は、勧善懲悪 っぽくはありません。ヤドカリおじさんは、タコジローの前から姿を消しますし、なんにも解決しないのだけれども、

この書籍の装幀、デザイン
素敵だなって、変なところで
感心しました。

海の中なので、ゆらゆら 揺れて、泳ぎながら、タコだから、興奮して真っ赤なゆでダコになったり、墨を吐いたりするし、言葉にできないモヤモヤが、コトバミマンの泡になって 浮いているんです。

処々にキーになる言葉が、1頁使って わかるように書かれています。

すべて 海の中で 展開してる話だなあ という気分になるのが、不思議です。

うまいなあ。
タコジローのイラストも可愛くなっています。

ふと気がつきました。
小・中学校は、そういえば
海の中にいるようなものかもしれません。

書くことで、少なくとも自分に向き合うことになるのだから、自分は自分のお友達ですね。

さみしい夜にはペンを持て

古賀史健 著 ならの[絵]ポプラ社
2024

本書の舞台は、海の中。
中学校があって、主人公はタコのタコジロー。
トビオくん やウツボリ くん、アナゴウくん、 イカリくんがいる学校。

ヤドカリおじさんが、悩めるタコジローを導きます。

そう、日記に自分と向き合って書くことを勧めるのです。
読者は、自分。
書くことで自分の気持ちを整理できるよ! と言ってくれるのです。

とはいえ、スートーリー自体は、勧善懲悪 っぽくはありません。ヤドカリおじさんは、タコジローの前から姿を消しますし、なんにも解決しないのだけれども、

この書籍の装幀、デザイン
素敵だなって、変なところで
感心しました。

海の中なので、ゆらゆら 揺れて、泳ぎながら、タコだから、興奮して真っ赤なゆでダコになったり、墨を吐いたりするし、言葉にできないモヤモヤが、コトバミマンの泡になって 浮いているんです。

処々にキーになる言葉が、1頁使って わかるように書かれています。

すべて 海の中で 展開してる話だなあ という気分になるのが、不思議です。

うまいなあ。
タコジローのイラストも可愛くなっています。

ふと気がつきました。
小・中学校は、そういえば
海の中にいるようなものかもしれません。

書くことで、少なくとも自分に向き合うことになるのだから、自分は自分のお友達ですね。

さみしい夜にはペンを持て

古賀史健 著 ならの[絵]ポプラ社
2024

本書の舞台は、海の中。
中学校があって、主人公はタコのタコジロー。
トビオくん やウツボリ くん、アナゴウくん、 イカリくんがいる学校。

ヤドカリおじさんが、悩めるタコジローを導きます。

そう、日記に自分と向き合って書くことを勧めるのです。
読者は、自分。
書くことで自分の気持ちを整理できるよ! と言ってくれるのです。

とはいえ、スートーリー自体は、勧善懲悪 っぽくはありません。ヤドカリおじさんは、タコジローの前から姿を消しますし、なんにも解決しないのだけれども、

この書籍の装幀、デザイン
素敵だなって、変なところで
感心しました。

海の中なので、ゆらゆら 揺れて、泳ぎながら、タコだから、興奮して真っ赤なゆでダコになったり、墨を吐いたりするし、言葉にできないモヤモヤが、コトバミマンの泡になって 浮いているんです。

処々にキーになる言葉が、1頁使って わかるように書かれています。

すべて 海の中で 展開してる話だなあ という気分になるのが、不思議です。

うまいなあ。
タコジローのイラストも可愛くなっています。

ふと気がつきました。
小・中学校は、そういえば
海の中にいるようなものかもしれません。

書くことで、少なくとも自分に向き合うことになるのだから、自分は自分のお友達ですね。

強いビジネスパーソンを目指して鬱になった僕の 弱さ考

井上慎平著 ダイヤモンド社 2025

著者は、京大卒。難しい書籍の編集者。ダイヤモンド社を経て、ソーシャル経済メディアNewsPicksで書籍レーベル NewsPicks パブリッシングを立ち上げ、創刊編集長を務めた と経歴にありました。

見ただけでも、凄い人だなあとわかります。


雑誌創刊にあたって、毎日が文化祭のようで、走り抜けて行くうちに、激務の末、鬱を発症されました。

その鬱になった体験から、
ビジネスパーソンってどういうもので、お仕事って何?
ということを、つまびらかにした本書です。

辛い経験をここまで俯瞰された本書は、読む人の置かれている立場によっては、ヒリヒリしてくるのではないでしょうか。または共感をおぼえる、よくぞ書かれた。。。

私は、このどれもが 読後感として残りました。

うーん🤔

本当にお仕事って、何なんでしょうか。
弱くて、病気になったら、
土俵から降りて、敗者になるしかない。みじめな思い。
著者はたまらない毎日だったでしょう。

降りた土俵の外から眺めた景色が、今を生きることにつながるような気がします。

著者も、そのようになさいました。心の深度もより、深くなったなった気がします。
弱さは、別の強さの入口ですね。