岩﨑政利 亜紀書房 2024
いつの頃か、種にもF1というタイプの種があると知ったことがあります。
F1の種は、1代限りの種だそうです。タキイの種 で売っているのは、このF1の種がほとんど だと知りました。
本書でいう、在来種の種は、その土地に根ざした、そこで先祖代々 大事に育てられた野菜の種のようです。
そんなに大事に守られたのは、なぜかというと、それはおいしいから 、 それにつきるようです。
著者は、在来種の野菜の種を採取します。種あやし とも呼んでいて、実った種を風に向けて飛ばし、手のひらに残った種を保存します。そして翌年、また野菜を作って、花を咲かせ、種をとって、増やしていきます。
自分は野菜を心の目で観て、野菜の気持ちを聴きながら、
一緒に野菜を作っていくのだそうです。
本当に地味な農作業の毎日だと思うのですが、その野菜の花が咲いてこそ、種ができるのであって、野菜の花の美しさを味わえるのが、ご自分の農家としての楽しさのように感じ入りました。
装幀も地味で、内容も地味なのですが、この本が私の部屋の机の上にあるだけで、なんだか清々しい気持ちになりました。
緑の濃い森の奥、散々 苦労して登りきった山の上で、なんともいえない風を感じているような、好きな本の1つでした。



